食と生を支えるコンサルタントナース
Taste & See
食べることと生きる力をつなげます!
Taste & See (テイスト アンド シー)は、慢性疾患看護専門看護師、摂食・嚥下障害看護認定看護師の資格をもつコンサルタントナースが、「お口を整える」、「食に関するアセスメント」ができるスタッフを育成するプログラムを提供しています。
現場で葛藤している皆様を支えるのがTaste & Seeの働きです。食べることに関する状況を一緒に評価し、スタッフの皆様が安全に関わられている一人ひとりの食べる力を引き出せるように支援させて頂きます。
ご希望や状況を伺いながら、専門看護師ならではの視点から、摂食嚥下の基礎的知識・技術が習得できる、6か月または3か月の「食と生を支えるコンサルテーションプログラム」をご提供いたします。
摂食嚥下障害のある患者様の口腔ケア方法について、患者様に適した日々の口腔ケア物品、口腔ケア方法を具体的にご提案いたします。
元援護部長 河村美枝子様
急性期病院での看護部長時代に、誤嚥性肺炎による高齢者の緊急入院数の多さと、入院中の絶食指示期間が長いことに疑問を持っていました。誤嚥性肺炎連携パスのため早期に転院となりますが、医師の指示による長期の絶食が、高齢者のその後の機能回復の妨げとなり、生きる目的を見失うことになるのではないか、また、絶対数の少ない言語聴覚士が多くの嚥下評価と機能訓練を依頼されており、看護師による早期介入ができないかと考えていました。一番の後悔は、自分の親の介護体験です。徐々に嚥下機能が低下していることに気づかず、看護師でありながら適切なケアをしてあげることができませんでした。絶えず喉の渇きを訴え、最後は誤嚥性肺炎を繰り返し亡くなりました。
そのような時期に、知り合いの訪問看護ステーション管理者からTaste & Seeさんをご紹介頂き、病院長の承認のもと看護部でコンサルテーション研修を導入しました。
チームでの話し合いの様子
現在は、介護老人保健施設で管理者をしています。高齢者が「最後まで口から食べる」ことを支援するために、同系法人の介護施設全6施設の看護管理者に呼びかけ、摂食嚥下ケアの質を高める多職種合同チームを結成し、全施設一斉のコンサルテーション研修の導入を開始しました。2019年5月のことです。
毎回のコンサルテーションでは、私たちはまさに「目からうろこ」の状況でした。アセスメントがいかに重要かわかりました。関わった高齢者が、少しずつ口から食べることができ、栄養状態が改善した例や、誤嚥性肺炎を繰り返していた方が、発熱せず経口摂取できています。また、管理栄養士、言語聴覚士とともに活動することで経口維持加算件数も増加し、経営貢献につながっています。
看護師は、医療施設や介護施設、在宅においても「チーム医療のキーパーソン」に間違いありません。培った経験のうえに、さらに新しい知識と技術を習得し、対象者に適切なケアを実施する責任があります。今回の摂食嚥下コンサルテーションをきっかけに、当施設では歯科衛生士の雇用も実現しました。口腔衛生管理加算を算定し始め、今後も多職種混合の専門職チームで活動の幅を広げ、活動成果を各種学会に発表する予定です。
介護課 中川丈士様
どのような状態で嚥下がおこなわれているのか。どこに問題があるのか。どのように観察するのか。どのように対処するのか。今回のコンサルテーションでは、日々関わっている利用者の方を回診していただくことで、摂食嚥下をリアルに学ぶことができました。
何の問題もなく食事が取れていると思っていた方の、口腔内をよく観察することや嚥下時の音を聞くことで、嚥下状態に問題があることを知りました。また、摂食嚥下の5期を意識した介助や観察ができていない現状にも気づかされました。
私たち介護福祉士は、利用者の日々の生活で「食事」というケアに携わることが多い職種です。その中で、いかに安全に食事をたべていただくかが重要となります。摂食嚥下の知識や技術を活かすことで、誤嚥による窒息や肺炎を防ぐことができ、健やかな生活に繋がるケアが提供できるものと考えます。今回の学びを法人内の介護施設で共有し、ケアの定着を図っていきます。
言語聴覚士 小川理子様
言語聴覚士が摂食嚥下の知識や技術を伝達する立場になると、日々のカンファレンスでも言語聴覚士の発言力が強くなり、状態の検討・意見交換が十分に行えないことがあります。この度、外部講師のTaste & Seeさんから知識を得た職員で構成される多職種連携チームが始動したことは大きな成果だと思います。リスクに関する視点も変わり、各職種のアセスメント能力も向上しています。知識を得たことによって専門性を活かし、相互に積極的な意見交換ができるようになってきたことを実感しています。今後も一専門職として、チームケアを盛り上げていきたいと思います。
フォーリーブス訪問看護ステーション管理者 堀川勝子様
私は訪問看護師ですが、利用者さんが嚥下訓練をしていくうちに少しづつ食べれるように、飲み込めるようになり喜んでいただいています。
また、職員への教育もしっかりとしていただけ契約してよかったです。「しっかり嚥下訓練が自宅でできます!」と堂々といえるのもTaste & Seeさんのおかげです。
看護部長 前原陽子様
当院は、高度急性期病院として平成28年4月にDPCⅡ群指定をうけ、低侵襲でより高度な医療を提供し、病床稼働率96%、平均在院日数11.2(平成29年度実績平均)となっています。そのような中で、検査結果ばかりに目を向けるのではなく、看護師として責任を持って療養上の世話を実践できる、摂食嚥下機能の維持向上におけるケアのありかたは課題でした。
そこで、前看護部長がTaste & Seeさんとお知り合いであったことがコンサルタントナース導入のきっかけです。病院の許可をいただき、コンサルタントを受ける体制を整え、平成29年11月からきていただいています。
ベットサイドでの様子
プログラム修了時の成果発表会の様子
口腔ケアの方法や実践のみならず、食物の匂いや配置などさまざまな工夫のなかで、患者さまの表情が穏やかに変化していくことは、看護職のケアへの動機付けになっています。「食べられないのは仕方ない」・「誤嚥をおこすのは高齢だから」とあきらめや決め付けではなく、患者様の口腔ケアと嚥下訓練を通して「快」のニーズに訴えかけてられるようになってきました。
平成30年4月に摂食嚥下ワーキングチームとしての成果発表会を開催しました。患者様個々に応じた嚥下訓練の方法や道具の選択などから、その効果を共有することが出来ました。また、Taste & Seeさんからは、アセスメントからケアの実践までを系統的にご指導いただくことで、「目から鱗」の学びになりました。
副看護部長 畠山知子様との打ち合わせ風景
Taste & Seeさんが当院の看護師と一緒に、口腔ケアを実践して頂いた時のことです。脳外科の術後で、傾眠がちな患者様でした。その方に昼食を勧めると「口がすっきりしたから、食べるのがもったいない。」とおっしゃいました。口腔内環境が、患者様のQOLを向上させるのに重要である事を、あらためて気づかせてくれました。
摂食嚥下機能に関する知識,技術の素晴らしさはもちろんですが、患者さんを全人的にとらえ、その患者さんに必要なケアを見出される姿勢に、看護の素晴らしさを伝える大きな役割を担っておられると日々感じています。
元・看護部長(現・大寿会病院看護部長)
濱野由美子様
当院は、STの人員はある程度充実していますが、STが実際に、すべての患者様の訓練ができるというわけではありませんでした。そのため、看護師で訓練を行うのですが、看護師の知識・技術が十分ではなく、リハ(ST)の指示を待ってなんとか訓練している状態でした。このままでは、訓練の水準が保てないのではないか、訓練の評価が、曖昧な状態ではないかと感じてました。
回診前の講義・意見交換の様子
Taste & Seeさんは、摂食・嚥下障害看護認定看護師ということで、看護の視点でのコンサルトを期待できると思いました。回復期の看護師として、摂食嚥下に関する知識・技術が向上すると、STの指示を待たずに、自ら動ける看護師になれ、回復期看護の強みが作れると思い導入を決めました。
プログラム修了時の事例発表会の様子
委員会担当の看護師は、毎週の回診で、事例報告をするのは初めてのことだったのではじめは大変そうでした。しかし、途中から学ぶことが楽しみになり、積極的な姿勢に変化しました。これまでの教育では、受け身であり自ら学ぶ姿勢が弱かったのですが、6か月目の事例発表後は、達成感を味わうことにより、外部研修を自ら探して参加するなど、意欲的に変化しました。また、3事例は、学会発表ができ、看護ケアの成果と看護師人材育成の効果が可視化できました。摂食嚥下の知識・技術の獲得がベースとなって、医療・看護の質が向上し、患者様の満足や経営効果に繋がったと思います。
看護部長 星田朋子様
摂食嚥下困難で「食べれない」患者様が年々増加している現状から、現場の看護師が早期から個々の患者様に対して個別的なケアが必要だと感じていました。しかし、研修や専門書からの情報だけでは行動化が進まない状況でした。
Taste & Seeさんの取り組みは、個々のスタッフが知識だけでなく実践力があがるものではないかと考えました。
プログラム修了時の事例発表会の様子
摂食嚥下チームが中心に知識と技術を学んでいます。専門家の介入によって患者様が改善する現場に直面することによって現場の興味が高まっています。また「嚥下マニュアルの作成」や「病院食の形態」に対してもアドバイスを頂いています。これらの活動を続けることでケアのさらなる質向上につながるものと期待しています。
歯科衛生士 山口香苗様
私は歯科衛生士ですが、摂食嚥下に携わる際に、まだまだ知識も浅く、どうしても視野が狭くなってしまいがちです。
しかし、摂食・嚥下障害看護認定看護師のTaste & Seeさんとお仕事をご一緒して頂く事で、歯科衛生士では思いもよらない視点からの観察や、その他たくさんアドバイスを頂いています。これからも訪問先で様々なアセスメントを行い、的確な知識で訓練を実施できるよう、アドバイスを頂きたいと思っております。
大阪府立成人病センター附属高等看護学院を卒業後、大阪急性期・総合医療センターにて臨床経験を積む。2007年に摂食・嚥下障害看護認定看護師資格を取得、大阪府立大学大学院看護学研究科を修了後、2013年に慢性疾患看護専門看護師資格を取得した。患者様の状況に基づいた摂食嚥下ケアを提供するため、2016年病院を退職後独立し、食と生を支えるコンサルタントナースとしてTaste & Seeを立ち上げる。多数の施設で摂食嚥下のスタッフ教育を行っている。千里金蘭大学客員教授、堺看護専門学校講師、福井大学非常勤講師を兼務。
診療報酬算定や、食に関するアドボケーター、コンサルタントナース等にご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。
みんなの介護の情報サイトにて介護の教科書「口腔ケア」を執筆しています。(外部サイトへ)
看護師向け情報サイトアンファミアのスタッフコラムを執筆しています。(外部サイトへ)
医療や介護に関する情報をわかりやすく発信し、認知症の方やその家族の方が安心して暮らせる社会を目指す情報サイト「健康ねっと」に紹介されています。(外部サイトへ)
脳卒中と栄養ケアのコンサルタントナース
「Nurture」は、脳卒中と栄養ケアのコンサルタントナースとして書籍・雑誌等の執筆やセミナー、ウェブコンテンツのプロデュース、また【脳卒中と栄養ケアの教育プログラム】による実践的な現場支援を通して、看護師の育成と“栄養看護”の普及を目指してまいります。
フットケアナーシングのコンサルタントナース
「ナースファシリテーターAbeby」は、『足を看る』ことと、『足に関するアセスメント』ができ、全身状態に応じたフットケアが行える看護師を育成していきます。また、オンラインでフットケア教育を目的に応じて3コース提供しております。
摂食嚥下分野に関わるコンサルタントナース
https://tabetai-okuchikara.com
「食べたい-おくちから」は、介護施設、訪問看護ステーション等へコンサルタントナースが継続的に介入し、講義と現場で摂食嚥下の専門的なのコンサルテーションを行うことにより、スタッフが患者様の食べる楽しみを支えられるように支援させていただきます。